2013/08/02

『めがね』

ドタバタと準備をして、”駆け足”で始まった今回のフランス旅であったことはお伝えしましたが、”行きの飛行機”で座席に座った時には、”ふ〜っ”と安堵した気持ちになりました。その時に見た映画です。私の気持ちを落ち着かせてくれた、ほっこりさせてくれるとても良い映画だったのでご紹介したいと思います。





ある島の宿に、都会からやってきた女性が、最初はとまどいながらも(少々拒絶のようなものもあり?)、だんだんと島の”ゆるゆる”ペースに巻き込まれていき、最後にはそのペースに心地よく感じている自分に気づく心ほっこりなお話。


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『めがね』
監督 荻上 直子
2007年 日本映画
 (上映時間 106分)
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 「来た。」という島民らしき人たちの台詞から始める冒頭。”何が(誰が)来たのかな?”と思います。機内だったので英語の字幕があり、それによると「She's come.」。”She”ということは、ちょうど観光客であるタエコ(小林聡美)がその島へ到着したシーンだったので、あ、”お客さんが来た”という意味なのか、と思っていましたが、ちょっと違ったようでした。

 南の島らしく、みんなが”ゆるゆる”、マイペース。特にびっくりするような事件が起こるわけではなく、また台詞も最小限。”あるがまま”で毎日が自然に流れて行きます。時間の”流れ”だけではなく、ハルナ(市川実日子)ユージ(光石研)といった島の人たち、このちょっと個性的な島の人たち自身が”あるがまま”。そして彼らが周りの人を受け入れる姿勢が”あるがまま”。それぞれが、どこから来た人で、何をしている人で...そんなことは”どうでもいい”。”あるがまま”を受け入れている姿勢。素晴らしいです。一緒にいるその空間で流れる時間を素敵に共有している姿にこちらもほっこりします。

 お話の中では、美味しそうなものを美味しそうに食べるシーンがたくさん出てきます。キッチンとダイニングが一緒になった海を感じるスペースでの毎朝の朝食がなんて平和。ご飯とお味噌汁と玉子焼きと鮭と..そして大事なのが梅干し。梅干し...口の中が酸っぱくなります。でも毎朝これを食べること、大事なようです。伊勢エビのシーンなんて、とっても美味しそう!自然の中で、自然の恵みを美味しくいただけるって幸せですね。(ちょっと話がずれますが...食事の時の”いただきます”という言葉。「自然の恵み(命)」をちょうだいします。作ってくれた方の時間を感謝して頂きます。という意味があるのだそうです。自然界に生きている命をいただいて私たちの命をつないで行く。感謝の気持ちを込めた言葉なのですね。)

 この映画で一番大事なポジションであるサクラ(もたいまさこ)。いや〜、いい味出してます。とってもゆるゆる笑顔のサクラが、海岸で毎朝みんなでやっているメルシー体操。みんなの前に立ってメルシー体操を行うサクラのきびぎびした動き、真剣な表情。素敵でした。そして一番真剣な表情をしていたのが、煮ているアズキの鍋の火を止める”ベストタイミングを逃すまい!”とコンロの前でにらめっこをするかのような顔で立っているシーン。みんなへの愛なんですよね、これも。そのアズキを使った”おいしいかき氷”の代わりに皆さんから返ってくるもの...これも素敵です。でも、サクラ...毎朝、まだ眠っているタエコのお布団の横で正座をして、なぜ彼女の目覚めを待っていたのでしょう。目覚めると満面の笑みで”おはようございます”。おもしろいシーンでした。でも私も目覚めた時そんな人が横にいたらちょっとイヤかも...。

 見終わった後、自分が”機内の中にいる”という現実を思い出し、それにビックリしました。どうやら私は海岸にいるような気分になっていたようでした。私は機内だったので、途中眠くなり少し眠った後、起きてまた続きを見るということをしました。”まったり”モードが続くので、自宅でゆっくりしながら見ると、やはりお昼寝をしたくなってしまうかもしれません。眠くなるかもしれませんが、途中寝てしまっても、最後のシーンまで見てもらいたいなと思います。”愛”にまたほっこりしてしまうかと思います。

 暑〜い...、海へ行ってノンビリした〜い、でも今すぐ行けな〜い...海でマリンスポーツをしたい時ではなく、時計を見て時間を気にすることから開放されたい、何かにとらわれていない自分でいたい...そんな時に見てもらうといい映画かな?と思います。日常の”めんどくさいこと”から開放してくれると思います。”たそがれる”ということをしてみたくなるかも。

 *文中、敬省略させてもらいました。お許しください!

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